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熱性痙攣パンフレット

以下の内容は、『米国小児科学会』(AAP)
作成のパンフレットの日本語訳です。

熱性痙攣

お子さんによっては、熱でひきつけが起きる事があります。熱性痙攣は6ヶ月〜5歳の小児全体の2〜5%で起こります。
「ひきつけ」とか「発作」とも呼ばれたりする、この『痙攣』が一度起こると気が動転してしまうでしょうが、普通はこの『熱性痙攣』は無害です。
このパンフレットの情報はあなたに『熱性痙攣』を理解して頂くためのものです。

熱性痙攣とは?

熱性痙攣は普通、熱が始まって最初の2〜3時間の間に起こります。痙攣児は最初しばらくはキョトンとして見えるかも知れません。
それから体が硬直し、体をねじったり、目が反転して白目になったりします。短時間の間、呼びかけても答えず、呼吸も乱れます。肌はいつもより少し黒っぽく見えるかも知れません。
痙攣が終わると、すぐに普通の状態に戻ります。痙攣は普通は1分以内ですが、稀に15分近く続く事もあります。
熱性痙攣は24時間の間に1回以上はめったに起こりません。他の原因による痙攣(熱による痙攣でないもの)はもっと長く続いたり、体のある部分だけが痙攣を起こしたり、くり返し起こったりします。

子供が熱性痙攣を起こしたらどうする?

あなたのお子さんが熱性痙攣を起こしたらすぐ、怪我をしないよう気を配って下さい。
●床かベッドに寝かせて、机のかど等とがったものから遠ざけて下さい。
●頭を横に向けて、だ液や吐物が口から外に流れやすくしてください。
●口の中には何も入れないで下さい。舌が巻き込まれるという事はありません。
●かかりつけの小児科医を受診して下さい。

これからも痙攣が起きるの?

熱性痙攣は家系的に起こりやすい傾向があります。別の機会に熱が出てまた痙攣が起きるという割合はお子さんの年令によります。
最初の熱性痙攣が一歳以下の時に起きたお子さんは、熱が出た時再び痙攣を起こす割合は50%です。
最初の痙攣が一歳以上のお子さんでは2度目の痙攣を起こす割合はたったの30%です。

この子、てんかんになるの?

てんかんというのは複合して何度もくり返して起きる痙攣を指す言葉です。てんかんの痙攣は熱では起こりません。
熱性痙攣を起こした事のあるお子さんが7歳までにてんかんを起こしてくる割合は、熱性痙攣を起こさなかったお子さんに比べて、ほんのごく僅か多いだけです。

熱性痙攣って危険なの?

熱性痙攣はとても恐ろしげに見えるかも知れませんが、お子さんには害はありません。
熱性痙攣では脳に障害は起こりませんし、神経系統の問題や麻痺、知能障害も起こりません。まして命を落とすこともありません。

熱性痙攣の治療は?

あなたのお子さんが熱性痙攣を起こしたら、かかりつけの小児科医を受診して下さい。小児科医はお子さんの熱の原因が何なのかを診断するためにお子さんを診察します。痙攣そのものよりも熱の原因を突き止める方がずっと大切なのです。
お子さんが髄膜炎のような重大な感染症にかかっていないかどうか確かめるために(特にお子さんが1歳未満の場合)脊髄液採取という検査をする事もあります。
一般的に医師は単純型の熱性痙攣の場合、予防のためにお薬を使うことを勧めませんが、お薬についてはかかりつけの小児科医とご相談下さい。痙攣が長い場合や何度もくり返し起こす場合は対応が違う事もあります。
アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱剤は熱を下げるのには役立ちますが、熱性痙攣を予防するものではありません。お子さんの熱に対してどう対処すれば良いか、かかりつけの小児科医にご相談下さい。
もしお子さんが熱性痙攣を起こしても、恐れないで下さい。このタイプの痙攣はお子さんにとって危険なものではなく、長期的に見ても健康を損なうものではありません。熱性痙攣やお子さんの健康に関する事について関心がおありなら小児科医にお話し下さい。

パンフレット解説
当院理事長/院長
前田賢司

●熱性痙攣の中で一番多いのは『単純型熱性痙攣』で、これは15分以内に(通常は数分以内)に回復するものです。
もしお子さんが発熱と共に『ひきつけ』を起こしたら、安静にして寝かせて痰などがつまらないように注意しながら、時計で時間をはかって下さい。(高熱があれば体を冷やしても構いません。)
数分以内に気がつくようなら、通常は大きな心配はありません。気がついて落ち着いたら水分をしっかり補給してください。その後、念のためかかりつけの医療機関を受診して下さい。
もし夜間ならそのまま一晩様子を見て、翌日受診して下さい。(ただし、15分以上痙攣が続くとか、回復したと思ったらすぐまた痙攣が起きるという状況なら『複合型熱性痙攣』の疑いがありますので夜間でも救急で医療機関を受診して下さい。)

●熱性痙攣の予防については、欧米では必要ないとされています。
日本では『ダイアップ』という名前の座薬が予防に使われる事がよくありますが、このお薬(ジアゼパムという成分が入っています)は欧米では「予防に使わない」とされています。
ジアゼパムを内服で使って痙攣が予防できなかったという研究と、反対に予防できたとする相反する2つの研究があるのですが、予防できる程の大量を使うと副作用が出やすい事、もともと熱性痙攣が無害な病態である事から欧米の専門家は勧めていないのです。
(欧米ではこのような「科学的根拠(エビデンス)」を元にして医療を行うのが常識になっているのですが、残念ながら我が国ではまだこのような考え方が浸透していません。)

●熱性痙攣は無害で、心配のない病態です。熱性痙攣をしばしば経験したお子さんでも年令が進むにつれて自然に起きなくなっていくのが普通です。
熱性痙攣を正しく理解して頂くためにも、このパンフレットを読まれてもまだご不明な点があればかかりつけ医にご相談下さい。
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